欧州に行った際,イタリアでRyuichi SAKAMOTOのポスターを見かけた.今ツアーをしているらしい.

Merry Christmas Mr. Lawrenceを久しぶりに聴いた.坂本とたけしとデビッドボウイが出ていた大島の映画は,うまく撮れているとは思わないが,いい映画だった.

ゴルゴダの丘に自ら架けられたキリストが独り背負った贖罪.キリストだとて人間だから唾棄すべき本性なら持ってただろうが,ひとり彼だけが原罪を背負った.226事件に参加できずに生き延びたヨノイと弟を見殺しにしたセリアズ.贖えぬ罪が心の底にあり,しかし贖罪だけで人間はできてないから,ゆらぎのようなものもあっただろう.しかし徹頭徹尾,救いはない,そして心の底に沈殿する罪も消えない,そうわかっていて,だけど,それでも人はゆらぐだろう.ただ死ぬだけでいい,しかし,だから,戦場だからこそ,クリスマスの贈り物くらい,このくそったれな世界にあってもいいではないかと思わないでもない.エンパシーは人間が持つ感情の中で最も尊いもののひとつだと.そういう映画だった.