ハバナから帰ってきて毎日のように霞に呼び出されている.終わりの始まりもいよいよ終盤戦で,ひとつの時代が今日終わる.

田中は秀吉のようでもあり,どこか憎めない人間らしさが好きであった.自由研究で田中を題材に選んだのは,死んだ爺様にどこか似ていたせいかもしれない.論理的であることを是としているがどこかで身体性を信じているところがあって,彼が元いた場所に今すがっている人々はどこか残り滓のようでもあって.寧ろ田中的なものは田中から出て新しい勢力となり,非田中的なものは旧い勢力となるのだろう.

完璧なものを,優れたものを求めて,人間は努力する.しかし結局,努力するほどに人間から離れ,人間らしい感情を捨て,目的のために手段を選ばず,そうしてなお,決して人間は到達することはない.それならその努力に何の意味があるのか.

壊されて,揺さぶられて,その中から生まれてくるものを信じたい.