わたしたちが孤児だったころ」を7,8年ぶりに読んだ.「朗読者」つながり.

使命感を回避しようと,自分のために生きればいいとか,仲間と好きなことを楽しんでやるとか.しかしそういう風に生きることができない人がいる.そんな心配などせず,人生をぬくぬくと送っていくことのできる人々もいるのだろう.だけど,結局のところ,消えてしまった両親の影を何年もずっと追いかけている孤児のような人間(主人公)は,最後まで自分に与えられた使命を遂行しようと世界に立ち向かい,最善を尽くより,そのほかの選択肢は許されない.

トラウマのような歪みにしろ,さして重要ではない痛みにしろ,そいうものの本当の意味に薄々気づきながら,人間は砂をかけるようにして無意識に隠蔽する,そうやって気づいていないふりをすることで,苦しさから逃げ,あるいは目前の相手の苦しさを気づかないふりをする.なぜなら,どうしようもないことに直面すると人間の心は壊れてしまうからだ.

結局,晴れきった空のように,人間は損とか得とか,幸せとか不幸せだけを単純に求めることはできない.世界に立ち向かうこと,無力な自分自身を救うこと,目の前の誰かを救うために自分にできること.自分の心の奥底で本当に求めてるいるもの,あるいはそのことを希求する感情と,こうすれば楽なのに正しいのにという単純な論理は,ぶつかって壊れ,最後に本当の答えへと向かう.ひっそりとした隣の世界の物語.

エルゼビアからproofsの確認メイルってことはacceptされたってことでいいのかね.やった!嬉しかったので居室で烏龍茶をいれて飲んだ.