ノベール物理学賞で南部先生と益川さん小林さんが受賞した.アマチュアな私だが,おそらくquark flavor structureということにつきるのではないか.chiral symmetry breakingではなくquark massに注目したということであわせたと.無論組み合わせの関係なので,それでもらえなくなった人もいるのだろうし,心中複雑であろうが.しかしいずれにせよ,すばらしく感動的だ.南部先生との共同受賞は本当にすごく嬉しいと思う.おめでとう.言いたい.

聊かレヴェルの低いPrizeなら両手分くらいはもらったけれど,しかし頂戴したPrizeでレヴェルなどというのも僭越だし,そもそも国際的なPrizeであればどんなものでも各国推薦者がいて,同じ日本人の誰も推さなかったあの研究を,国籍も所属も全く違う彼らが強く推してくれたことに感謝こそすれ,云々言うべきではない.だけど,いずれにしてもNovel Prizeというのは本当に特別なPrizeである.

科学というものの片隅に私という人間がいて,その果てに何があるかはわからないが,自分の好奇心で突き進み,誰が何を言おうがお構いなしに,ただ厳密に何かを感じ進み,迷い,描き,到達し,そんでもまた進み続ける.

組織でもなく,立場でもなく,お金でもなく,地位でもない.この地球上に,そういう研究だけを愛する仲間が存在する.所在なく,組織を離れ,立場もなく,あの国に不安定なままたっていた自分が,どこか初めて仲間を見つけたように,感じたあの感覚.あれは一体なんなのか.

よくはわからない.けれどもそういう感覚を共有できる人間が確かにいる.多くはないが,ぽつぽつと世界中に本当にそういう人間たちがいる.変わり者で,自分の考えに凝り固まっていて,相手のいうことなんてお構いなしで,ただ直向に突き進む.そいう仲間がいる.

そういう人間だけが,本当に心からおめでとうと,心の底から思えるのではないか.そういう人間たちにとってやはり特別なPrizeだと思うのだ.がんばろう.と思った.