人間が一生のうちに味わえる快楽は限られていて,毎日高級料亭で会食に明け暮れている政治家も,日がな数式を書いて計算を繰り返している研究者も,モンゴルだかチベットだかの高原で一年に一回だけ草原が一斉に萌えはじめ,さまざまな緑色を見せながら海原のようにかわっていく様を見続けている羊飼いの少年も,快楽の総量は同じなのだ.で,それが快楽かどうかと気づいているかどうかは兎も角として.とか.そういう話を聞いたことを思い出した.

月がよく見える.