自転車レースで先頭に飛び出してそのまま単独で逃げようとする場合がある.たいてい単独で走ると風をもろに受けて疲労コンパイ,最後に馬鹿を見ることが多いわけで,んな貧乏籤を引くようなことは誰だってしたくないわけだが,,宮崎駿の弟子で自転車好きの高坂希太郎が監督した「アンダルシアの夏」ではそんなレースが描かれている.徴兵から戻ってみれば恋人を兄貴にとられ,しかたなく故郷を離れ,ベルギーのビール会社「パオパオ・ビール」所属の自転車レーサーになった主人公ぺぺ.かつての自分の恋人のカルメンと兄エルナンデスの結婚式真っ只中というシチュエーションの中,スペイン最大の自転車レース「ブエルタ・ア・エスパーニャ」が故郷アンダルシアにやってくる.結婚式とレースが同時並行で進む中,レースのペースを上げるのが目的のアシスト役なんて誰にも注目されないわけだが,それでも何が起こるかわからない.ぺぺがレース中盤から捨て駒としてアタックを賭けると,アクシデントで集団落車が発生し,ぺぺに逃げ切りの可能性が生まれる.ゴールスプリント決死の漕ぎ.
「先頭を走っているモノがいつだって正しい」そう思わせるショートフィルムだ.