息が抜けないなあ.しんどい.

キューバといえば「モーターサイクルダイアリー」だが,あれは革命前夜なのでと思って「永遠のキューバ」を見た.正確には収録の合間にノートPCに入れてぼんやり眺めた.キューバの映画が見たかった.

作品に台詞はない.ただ12人の人々のハバナの同じ1日をカメラが追って,オムニバスに時間並行でつなげていくだけだ.

ダウン症の10歳の少年.妻を亡くし息子を育てるために建築家をやめて左官でその日暮らしの父親,ピエロを演じる医者,サックスを演奏する鉄道修理工,,12人の同じ朝,同じ夕暮れ,同じ夜.海峡を渡るタンカー,そよぐ夕凪,ホールの熱狂,脚本なし俳優なしのただの退屈なドキュメンタリー映像だが.彼らの事情を知るほどに,,不思議な気持ちがこみあげてくる.

なぜだか,,何度も見たくなった.第三世界からの移民で別離を経験しなかった家族はほとんどいない.貧しさと豊かさ,熱狂と静謐.別れと日常.そのコントラスト.二度と戻ってこれない絶望と,このやわらかな場所のせいか.村上龍が絶賛するキューバはここにはない.