天涯去不帰.

救われたと錯覚したのは,この世界には救いなど一切ないことを知っていたからだ.どこまでいっても果てはなく,救いもない,それでも砂を噛むような時間の果てにようやく天涯に達し,達したものだからあたりを見渡し,ある一定のひろさをもつその空間の端,大きく割れたその裂け目の淵があり,そこまで行ってそうしてもう救われることもないと知ったから,ただふらふらと今にも堕ちそうな深い谷の絶壁の先っぽを絶望しながら歩いていた.,そのときふと何か,見上げたとき,見えたものがあった.そういう夢をみた.