レフェリー,論文終了.

ふと,

ある死刑囚のニュースを見た.

ある日,その男が仕事に出かけるとき,世話好きのアパートの管理人のおばさんが思いついたように,家の残り物で弁当を作って,その男に無理やり持たせた.男は弁当箱を返すときに,「おばちゃんの子供,毎日こんなおいしい弁当作ってもらっとったんか」と遠くを眺めてぽつりと言った.

人と人の間に人間はいる.多くの場合親の愛情であろうが,そこに,引き止めるものがなければ,人と人の間を離れ,恨みだけで生きてなんの不思議もない.それほど酷く弱く,そして醜い一面が人にはあると思う.

「実存」には何の「機能」も必要ないのだとして,「実存」で結ばれた互いの関係性が愛だというけれど,「機能」を必要としない人間なんていない,そしてそのことこそが人間の醜さを生み出している.