カンブリア紀の生命大爆発:5億4300万年前,個体に眼が生じ,動物の世界では淘汰圧が強まり,ほとんどの動物種において,体形ならびに体色さらには探索能力や発信能力に,短期間で大変化が起こった.すべての動物種に大変化が起こり,対応できない種が淘汰されたらしい.眼を持つことによって,能動的な捕食が始まり,淘汰圧が高まった.その結果,ほとんどすべての動物種で,体形・体色・探索能力・発信能力に関わる短期的大変化がもたらされたのだ.
生命の進化は眼が進化したことに起因するというこの考えは概ね正しく受け入れられ,それを模した情報○爆発などという現代の眼(検索エンジン)をつくるためのプロジェクトも亡国では盛んと聞く.しかし果たしてそれは本当だろうか.
ラマルクの「用不用説」というのがある.ラマルクはbiology(生物学)という語を初めて使った人で,「用不用説」と「獲得形質の遺伝」にあたる説の中で,目的論的(目的に方向を定めた)過程を,生物が進化によって完全なものに成る間に経ることを述べている.厳密に説明すると難しいのだが,わかりやすくいえば「キリンの首が長いのは,キリンが高い木葉を食べようとしたからだ」ということだ.キリンは高い木の葉を食べたいと「思った」.そして必死で首を伸ばした.そのうちに食べられるようになった.結果として首は伸びていたというものだ.これを「用不用説」という.
これに拠れば,あくなき食への執念がまず先であるということになる.あくなき食への執着があって,はじめて種に様々な形質進化がもたらされる.生命大爆発というのは2次的結果である.しかしそのとき現場で起こっていた変化というのは,むしろ食の大爆発とでもいう驚くべき捕食の加速と急激な食物連鎖網の構築である.あくなき食への執着こそが種を進化させてきた.情報○爆発などどーでもいい話であって,食大爆発における空間と行動のメカニズムを深く掘り下げることこそが重要なのである.なかのくんの不参加が悔やまれてならない.