昨夜,NHKで「日中国交正常化」をやっていた.小学生の頃,田中角栄研究を自由研究課題で選んだ私の感想は立花隆さんとは全く違うものだったのを思い出した.

安い資源を輸入して,高い工業製品を輸出することで稼いできた日本は,大きな曲がり角に立っている.FTの記事.

「ゆでガエル」になって「かつて世界を席巻した日本の総合電機メーカーは、いずれも国際競争力を失ってゾンビになってしまった.そして,どの企業もそれに対して有効な戦略を打ち出していない.日立,NEC富士通,沖みな惨憺たる結果である.
http://www.ft.com/cms/s/1/3c9bcefc-6b36-11dc-863b-0000779fd2ac,Authorised=false.html?_i_location=http%3A%2F%2Fwww.ft.com%2Fcms%2Fs%2F1%2F3c9bcefc-6b36-11dc-863b-0000779fd2ac.html&_i_referer=http%3A%2F%2Fd.hatena.ne.jp%2Fmichikaifu%2F

格差社会で大手企業ばかりが得をしてというが,個人よりも大手企業がおかれてる現状(というより)先行きは相当厳しい.ベンチャーにしたところで革新的な技術を梃子にして市場をひっくり返すとか新たにマーケットを作るとか考えている会社は驚くほど少ない.多くのベンチャーは安い・早い・スコシだけ品質がいいのいずれかをウリにしている.こういう状況下においては,就職そのものは(どういう選択であっても)リスクをとる行為になるだろう.よく考えて企業(というよりも職場)を選ばないと,クリエイティビティを発揮できる若いうちに経験を積めず,才能があるように思えた個人そのものがあっという間にゆで蛙になる.好もうと,好むまいと,気づこうと,気づくまいと,多くの学生さんが,そのような鍋の中に放り込まれる.

日本企業が抱える問題はどこも共通しているが,財務省国際公約があって(高齢化問題がある以上)もうバラマキはできないことなどあわせて考えるとき,先行きをどう考えても楽観的に語れないことになる.しかし政治の側では,(消費税10%論者の谷垣さんをおそらく意図をもって処遇した)福田さん自身を,麻生さんなどが「自虐史論者」と語っているように,個人をより能天気にするよう,現実の変化から目をそらすような働きかけが,マスコミでも盛んに行われている.国あげてそういうことを行ってなんの得があるのかよくわからない.

政治家のみなさんやマスコミが言っている大久保利通=小沢,勝海舟=福田の図式は,江戸城引渡し≒自民党支配が崩れるに置き換えているわけだが,そういう単純な図式ではないんじゃないかと思う.明治維新というのは複数の文脈で見るべきで,政治体制や文化の変化で語られることが多いわけだが,寧ろ市場経済の大きな変化点であったように思う.

完全なる市場経済への移行は,ケイタイが通じない異常な国はいまや世界中で韓国と日本だけという事実を押しつぶすだろう.中国への真の開国は目前に迫っていると見るべきで.それは凄まじい変化をこの国の内部に長期間にわたってもたらすのかもしれない.元寇の時のような神風はもう吹かないとみるほうがムリがないように思える.