桜がわーっと咲き始めた.この季節,なんとなくさびしくなるのは,就職を控えた学生さんが研究室からだんだんいなくなるからかね.

海を渡る蝶がいます.

爺様と四国の山の中に住んでいた頃,色鮮やかなアサギマダラというその蝶を見つけた.アサギマダラは,春先,真っ白なこぶしの花が咲く頃,紀伊半島から室戸岬へ渡り,四国山地を越えた後,風に乗って遥か沖縄まで旅をする.まだ小さかった頃,そのことを知った.感動して,そして飛び立つ時,彼らはどんな気持ちだろうかと思った.

未完成で未熟で欠点だらけのみなさんのように,弱々しく儚げなアサギマダラが,敢然と,遥か遠く,たどり着けないかもしれぬ.見果てぬ場所を目指し,飛び立つ勇気を思います.そして,遥かかなたを目指して,頼りない翅を羽ばたかせ,海に向かって飛び立つ不安を思うと,なんだかなんともいえない気持ちになる.みんなが居たこの場所は,明日からはもう,同じ場所では無くなってしまうけれど,どこにいても,こっそり応援しています.ありがとう.元気で.