朝4時過ぎに起き出して,R56を西へ向かう.三秋峠越えて双海あたりで朝日が昇る.菜の花が咲いてる線路沿いを電車が走り抜ける。ひたすら西を目指す.長浜の古びた商店街を抜け赤橋を渡って肱川下ろし,川沿いを上流へ,水鳥が川面を駆け抜け,漣の筋がたつ.大洲から旧街道に抜け,夜昼峠へ.

鬱蒼とした森の中を畝々と只管漕ぐ.インナーまでギアを落としきっても足りず,スタンディングでひたすら漕ぐ.うっすらとした霧の中,ところどころに石積みの向こうに椿や白梅が咲いているのが目に入る.古い墜道まで出ると霧が急に晴れ始めた.日が差し込み,ガード下の菜の花,気の早い寒桜に紅梅が咲き,鳥のさえずりが幾重にも重なる.鶯の鳴声が主旋律のように聴こえた.遥かに八幡浜まで絶景が見通せる.足を休めて,ガードに自転車をもたれかけさせて,ぼんやりしてると,集落の婆様がやってきて,なんかだか矢鱈心配してくれ,最後に飴を山ほどもらった.なんだかな.懐かしい気がちょっとだけした.

八幡浜から再び,内陸へ.水の元を抜け,宇和町.田んぼの畦にれんげや土筆が見える.春だな.宇和町から長い長い坂を瀬戸内海を横目にハァハァしながら昇りきって,くだりに突入.法華津トンネルから10個も続くトンネルを次々にパス.70km/h超え.宇和島へなんとか辿りつき,川べりで日向ぼっこしてのんびりした.せせらぎの音に心が和んだ.市内をゆっくり流しながら煙突を探す.銭湯発見.貸しタオルと石鹸買って,爺様たちと薬湯につかって世間話など.

でもって,ようやく到着.150kmくらいかな,遠かった.造り酒屋の白壁沿いに街道をてくてく歩いてると,夕暮れがやってきた.大気がだんだん,茜色に染まってく.いろんなことを思った.