ゼミ7
二神雄典:
基礎集計で何を明らかにしようとしているのかがはっきりしない.基礎集計の目的は,回遊行動の実態をざっくりと明らかにすることにある.性別,年齢で見ていくと確かに差がある.重要なのは,その違いが指標によって様々であって,実際の都心回遊パターンは時間と内容の組み合わせで定義できるが,その類似度が離散的ではなく連続的であるという点にある.そこで,類似度指標を設けて連続的な類型評価を行うことで,個人属性間のパターン(時間と内容)の違いをより正確に分析してやることを試みる.
魅力の定義は?それを最小単位の人の回遊行動と空間構成,タイトルと背景を関連付ける.基礎集計3,4が息切れ,基礎集計と類型化の関係を図示するとよい(研究のフレーム).
「回遊行動」は活動「場所」の種類とそこで費やされる「時間」で定義される.魅力が高いということのひとつの指標は,「時間」であり,ある場所で費やされる延べ「時間」が長ければ,その場所の魅力は高いことになる.個人個人で魅力のある「場所」は異なるから人は「場所」を選択し,そこですごす「時間」を「選択」する.その結果が「回遊行動」として定義され,その「回遊行動」は「場所」の組み合わせパターンによって異なる「空間構成」に影響を受ける.「場所」の選択には個人の嗜好が,「時間」の選択には顕在化しているその「場所」の魅力のパワーが顕れている.
これらの関係を明らかにするために,まず「場所」と「時間」の選択傾向を属性別に分析し,空間構成の違いとの関係を明らかにする.次に「場所」と「時間」の選択組み合わせ「帯」を一体的に「パターン」としてとり扱い,パターンの差を連続的に数値表現することで,属性によるパターンの違いについて,定量的で正確な評価を試みたい.

浜崎今日子:
風景の窓の定義が弱い.唐突に二度繰り返される.風景の窓は地域知を持たない行政と大学の側の窓を広げ,設計思想に反映させるために行う.(もちろん中学生の窓も広がっているが,それは単なるそこにある知らなかった風景を表層的に新たに知ったということだけではなくて,風景の新たな解釈を知ったという意味がある)江湖港という共通の舞台装置に対して,地域知,実務知,専門知を掛け合わせることでよりよいデザインを実現するのが目的.要するに3人寄れば文殊の「知恵」3つの輪が重なる共通部分が「江湖港」.
アンケート結果の説明がちょっと中途半端なので,最低限の説明をコンパクトに丁寧にいれたほうがよい気がするな.
江湖港内で親水性を持たせない.技術的に困難なのか?なぜなのかはっきりしない.最後にまとめて,必ずも設計思想として重視しないことを選択した.という表現が妥当.何かを作るということは,何を作らないかを決めることでもある.何を作らないかを決めることで,その設計に宿る行動文脈を絞り込み,設計コンセプトである4つの因子をより強化する.
「ワークショップの説明がスコシ弱いので,アニメーション使ってください.ながはま通信のスキャン画像,コンター模型,まちづくりアトリエの写真とそのコンセプトなどを使って,あそこは一応丁寧に説明すべきです」

長和剛平:
行動のゆがみの定義
「状況(の変化)を正しく認識できず,平常時の状態を安易に想定し,思い込みなどによって行動してしまう.そうした行動のゆがみの結果として引き起こされた新たな状況に対して,損きりができないなどの問題が発生する.」

構成の整理がなされていない.本研究は信頼性の高いデータ取得が困難な被災時の避難行動データを多元的に用いて行動のゆがみの分析を試みる.1)日常リスク診断で潜在的なリスクを診断した上で,2)実際の避難訓練:診断されることを前提にすることで信頼性の高いデータを取得(N数は少ない)し,動のゆがみに対するよりよい理解を得た上で,3)アンケート:多量にデータを用いて分析を行う.

山本朋広
理論的と論理的は何が違うのかというと全然違う.おまけに客観的とは些か情緒的な気が..%RMS誤差の改善結果を明示的に説明すべき(数値が異なる頁で説明されており,プロシジャーによってどれだけ改善したのかがわかりがたい)
「地名をいれた方がよい,環状線を加えた方がわかりやすい」というが無視されている.
総旅行時間の変化はOD交通需要の伸びの結果なので,道路整備していない場合の計算結果を示して,インフラ整備でそこからどれだけ旅行時間を低減できたかというべき.離散時間ポイントをグラフにおとして面積というのはアレなので,破線で折れ線グラフの方が正しい.

清水昭典:
観測方法にはEuler(オイラー)型とLagrange(ラグラン”ジュ”)型があって,Fixed-point observation using Detectorsは日本のような先進国ではよいが面積の広く,開発効率の低いアジアに適した観測手法といえない.アジア型の道路交通管理のための効率的な観測手法と評価手法を考えたい.
1)まずカトマンズの交通事情の理解,2)IRIの定義とBCALSによる新たな観測指標の提案,3)解析結果(走っているだけで,メインテナンスポイントが自動的に判別可能)
オイラー型の観測はインフラ依存型であり,,,
福嶋浩人:
回答インセンティブ(ポイントシステム)が回答結果に及ぼす影響を分析した上で,1ヶ月にわたる3ヵ年の行動変化パネルデータを用いた属性の変化が行動に与える影響を分析する.

1)経時的なパネルデータにデータクリーニングを施すことで,一貫性のある分析を可能にし,システム設計が観測結果に対してどのような影響を与えているかを解析する.→妥当性の高い結果が得られていると思われる.
2)属性の変化に対する交通行動の変化には2つのパターンが観測できた,a)行動維持派,b)行動発展派である.a)については属性が変化してもトリップパターンが殆ど変化しない.b)は勤務地が変化することで新たな活動場所を見つけるなどの行為によって移動が活発化している.こうした行動変化は時間がたてば落ち着くと考えられるが,単純に現在の属性からトリップの原単位を割り当てた場合,過小/過大推計を招くなどの問題を引き起こす可能性がある.こうした現象を確認できたことが本研究の大きな成果である.